9 photo story

 死の商人『ブラックゴースト』という組織が何故生まれたのかをアニメーションで描く第一章が終わり、風の音の中、戦場の村から攫われた過去を語る「9」の声…

 電子機器が並ぶ粗末な小屋で「9」の帰りを待つ母親、「もう帰らない」と諭す父親、彼らはゲリラ組織の一員で『加速型サイボーグ』のメンテナンス任務に従事している…が、どうやら9は何かしでかしたらしい…
 「いざという時はこの手で…それがただ一つしてやれることだ」
帰って来ないと思っていた9は、「家」に帰って来た…戦闘服を脱がせてメンテナンス・ポッドに横たえる。加速型サイボーグは脳神経系の消耗を抑えるために非戦闘時はスローダウンしている…9は限界を超える長時間、加速状態で戦ったらしい…
 ポッドの中で9は母親の耳を通して難民キャンプを襲おうとした政府軍の機動部隊を全滅させたと語る…戦闘中止命令を無視して…「お前は攻撃してはいけない敵部隊を攻撃した」と責める父親に…

「父さん僕は知ってるんだ…」、ポッドから起きあがった9は父親が隠していた『加速型サイボーグ生みの親』ギルモア博士の日記を取り出して読み始める…そこには加速型サイボーグが何のために作られ、この戦争が何のために行われているかが書かれていた…

そこへ電話が掛かり、大佐が9の居所を知り、サイボーグ部隊を差し向けるという…父親はナイフを抜き、「大佐に捕まるよりは楽に殺してやろう」…加速したサイボーグ相手に戦える筈も無い生身の父親相手に、手が緩む9、しかし、父親は隙をついて9の首を…
思わず振りほどいた9の加速度で父親は壁に激突して倒れる…苦しい息の下で父親は告げる…夜も寝ないで勉強し9に最高のチューニングを施したのは、9にどんな戦場からでも生きて帰って欲しかったからだと…更に自分が9の村を襲った兵士の1人で、その時に9の姉をレイプしたことを告白して事切れる。
母親は「これでよかったんだ」と言いながら、自分もまた、戦場となった村から拉致された少女であったこと、ゲリラ基地の男全員に犯された後、父親と結婚させられた事を語る。「それでも、この人は優しかった…」
9の養育係になって戦場へ行かなくても良くなった父親と9の3人の日々が、どんなに楽しかったかを語る母親。「乳も出るようになった…ああ、これは自分の子供なんだと思った…」胸で泣き崩れる9に、ナイフを突き立てようと母親が動いた瞬間、時間の流れが…9の加速装置が作動したのだ。ゆっくりと立ち上がり、ナイフを取って母親の首に当てる9…
父親、母親の死体の間に座り込んだ9の絶叫が響く…「僕にはあなたたちの哀しみを終わらせることしか出来ない」…それでも9は立ち上がり、泣きながら戦闘服を身につける。
 「いつの日か誰か僕のやろうとしていることを判ってくれる人が出てくると思うんだ」9は絶望的な戦いに赴く。
「行って来ます!」
時間は流れを戻して母親の首から血が噴き上がる。
映像が流れ、子供に語りかける母親の声が…「これは世界を救った1人の女の子の悲しい戦いの物語なのよ…」
エンディング・テーマが流れて、キャストとプロデューサーが挨拶。大変な状況の中で足を運んで下さったお客様に感謝しました。

こうして1&2&3演劇祭における岡山ピースアクトの「9〜サイボーグ戦士外伝」公演は終わりました。スタッフ・劇場・演劇祭関係者の皆様、お客様、本当にありがとうございました。

NEXT
BACK