「独裁者2008」 ver１.１α
作：白神貴士
CAST
キム・ジョンブル
ギターの男
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開演前の２ベルと共に暗転。
ギター音の合図きっかけで
ギターの男の定位置にライトが落ちる。
異形の男がギターを手に歌いだす。
ギターの音色が陽気なラテンのリズムに変わり
照明も変化する。
どこか○ム・ジョンイルのような
独裁者が舞台に踊りでる。
マ○ケン・サン○Ⅱ風
♪オーレ オーレ オレオレばあちゃん
オーレ オーレ 金振り込んでぇ♪
ギターの男、独裁者の周りを回って退場。
独裁者、踊り終わって
いくら老人相手でも、この手口と歌はもう通用しません。
マンゴンギョンボウ･･
私、平成の独裁者キム・ジョンブルです。
60の齢を重ねて未だなお、
今年98の新興宗教やってる婆ちゃんの年金から仕送りを受け、
三畳一間、共同便所の安アパートで放射能を浴びながら原爆作ってます。
放射能のせいで体中ガタガタです。
ああ･･また、毛が抜ける･･
と、下着の間から陰毛らしき一掴み。
おっと、この可愛い縮れ方は○キタテンコーのヘアーが一本、
この色はカノウ○カ･･･これはエド○ルミ･･･
華麗なる愛のメモリーが私のひねこびたジンジロゲにまといつき
そこでスポットライトを浴びながら、ケジラミが綱渡りをしているじゃあないか！
あ・・・・･････落ちた。
拾って愛おしそうに食べる。
歯と歯の間でプチっと音がして血が流れます。
この瞬間がいい･･･歯と歯(鳩派）が血に染まる。
独裁者、血に餓えてます。
独裁者、愛に乾いてます。
こう見えて辛いです。
苦しいです、貧乏です。
ダンサービザで来日している幼なじみの●●をソープに沈めてしまいました。
とろけるように私を愛してくれた●●のオ○ンコを思い出しては泣くんです。
哀しい目をして笑っていた、あのオ○ンコを思い出しては泣くんです。
朝は夜の明けないうちから冷たい川に入り、シジミを取って売ってます。
カニも取ってます。
でも幾ら真面目に頑張っても、国で腹を空かせながらマスゲームしている
11万人の家族を養えません。
大きな声では言えませんが白い粉の速い奴も作ってます。
お猿のジョージが『儲かるから』って教えてくれたんです。
でも儲けても儲けてもジョージが吸い上げてゆくんです。
私をボコって持って行くんです。
三度に一度は蹴りを入れて持って行くんです。
時々鉄パイプで殴るんです。
ジョージの口癖は『自由にやんな』なんですが
自由にやってるのはジョージだけなんです。
みんな恐くて遠慮してるんです。
お猿のジョージが恐いんです。
私のように中小だと、なかなか独裁者も辛いんです。
自己破産もさせてもらえないんです。
利子だけが膨らんでゆくんです。
資本主義は間違ってます。
チャカ持ったペテン師だけが貯め込んで
正直者はどんどん貧乏になってゆくんです。
「いち抜けた」って言えないんです。
「ゲームは終わってねえ」ってジョージが殴るんです。
顔の形が変わるんです。
折角、キム○クそっくりで生まれてきたのに
カン○ングの竹○みたいになってしまいました。
返す返すも残念です。
返す返すも残念です。
目覚ましが鳴る。
ビニール袋から幾つも携帯電話を出してきて並べ、
一つを取ってかけ始める。
あ、ばあちゃん…オレ(切れる、別の携帯でかけ直す)
京橋署交通安全係の…(切れる、別の携帯でかけ直す)
はじめまして。私、先物…(切れる、別の携帯でかけ直す)
ご存知ですか？2011年にアナログ放送が…(切れる、別の携帯でかけ直す)
私、NTTの電話代…(切れる、別の携帯でかけ直す)
私、ご主人様の年金のお知らせでお電話しております社会保…あ、はい、
…ご愁傷様です。
(切れる、別の携帯でかけ直し、裏声で)あたし(切れる、別の携帯でかけ直す)
カピパラ探偵社と申します。ご主人にご依頼戴きました浮気調…え、あの、
カピパラ (切れる、別の携帯でかけ直す)
あ、じいちゃん、オレ(切れる)
ザラザラと携帯を袋に入れて
辛い毎日を慰めてくれるのが隣に住んでるイクラちゃんです。
イクラちゃん出張ヘルスに勤めてるのにレズなんです。
三日に一度は彼女を連れ込んでやってるんです。
長いんです、ロングタイムなんんです。
何度も何度もいっちゃうんです。
終わったと思ったら始まるんです。
私、平成の独裁者ですが、
天井裏から覗きます。
天井裏でこすります。
天井裏中に撒き散らします。
ジャスト・ライク・ヘブンな気持ちでした…
…がっ！
ある日いつものように覗いていると、突然イクラちゃんの部屋の中に
ジョージがドアを破って踏み込んできました。
イクラちゃんの彼女の顔面に回し蹴りをかませてノックアウトすると
抵抗するイクラちゃんをトカレフで脅して、
身動き出来ないようにベッドに縛ったんです。
長い足を折り畳んで、がばーっとＭの字に開くように縛ったんです。
『何か隠しているだろ』と因縁つけて縛ったんです。
天井裏からイクラちゃんのあそこが見えました。
濡れて光っているあそこが見えました。
イクラちゃん、おつゆが多いんです。
いつもピチャピチャ鳴るんです。
そこへジョージの直径5センチ長さ25センチ砲が入って行くんです。
イクラちゃんワンワン泣いてるんです。
かまわずにジョージの根本までぶっといのが入ってゆくんです････
私、哀しくて切なくて心の中で『イクラちゃーん！』と絶叫しながら
･･･それでも逝ってしまいました。
恥ずかしながらも逝ってしまいました。
返す返すも残念です。
返す返すも残念です。
部屋に戻ってティッシュで拭っているとジョージがやってきて
私に『手伝え』って言うんです。
私が『この国には憲法第９条というのがあって、
隣の部屋に勝手に入っちゃいけないんです』と言ったら
ニッコリ笑ってキンタマを鷲掴みにされました。
息が止まるほど掴まれました。
私、初めてイクラちゃんの部屋に一歩を踏み出しました。
何度も上空から眺めていた見覚えのある部屋へジョージに引きずられて
ブーツ・オン・ザ・グラウンドな土足で入ってしまいました。
縛られて顔が涙でグチャグチャになって眼が腫れているイクラちゃんが
小声で「助けて」って言ったんです。
でもジョージが私をつねるから、
今でも痣が残ってるくらいつねるから･･
命令でイクラちゃんの乳首にピアスを開けたんです。
可愛い乳首にピアスを開けたんです。
ジョージはそれを観て大笑いをしながら
イクラちゃんの体の中に汚い物をぶちまけたんです。
ドクドクあふれるくらいにぶちまけたんです。
劣化ウランやら何やらで汚染された汚い物をぶちまけたんです。
「嫌ー嫌ー！」と叫ぶイクラちゃんの口を塞がされたのは私の○ンポコです。
半立ちで踏みとどまった私の微妙な○ンポコです。
平和協力のはずだったのに…噛まれて三針縫いました。
自衛隊中央病院で縫いました。
イクラちゃんはジョージに売られました。
横須賀で重油の臭いのする船底に積み込まれて
どっか知らない国に売られてゆきました。
遠い国に売られてゆきました。
返す返すも残念です。
返す返すも残念です。
ギターの男登場。
独裁者出て行く。
ギターの男歌う。
ギターの男と独裁者が交代する。
ジョージが憎くないのか、何とかしようと思わないのかといったお声もあると思います。
…そりゃ…ジョージがいなくなったら街は住みやすくなるでしょう。
私もあのショボイ原爆の放射線シャワーにおさらばしたいんです。
貧乏にも三畳一間にも嫌われ者にもおさらばしたいんです。
けれどどうしようも無いんです。
町内の人だって実はみんなジョージを追い出したいんです。
でも、相談しようにも、町内会はいつもジョージのマンションで開かれてるんです。
電気屋もガソリンスタンドもガス屋もコンビニも酒屋も八百屋も、
ガードマンも交番のお巡りさんにさえジョージの息がかかってます。
逆らったら町内で生きて行けないんです。
隣町のスーパーでネギ買っただけで、歯医者の待ち時間が５倍になるんです。
盗聴器やら隠しカメラやら仕掛けられていて、婆ちゃんのヘソクリのありかから
新婚夫婦の夜の回数、私のイボ痔の数まで知られてるんです。
ケツの穴のの皺の数まで知られてるんです。
確かに…逆らった人もいました…いや、あれも逆らわされたんです。
ジョージは、私が若い頃お世話になっていた横丁のヒノモト親分に
「貸したる、貸したる、何ぼでもゆうてや。払いは出世払いでかまへんがな」
と後押しをしておいて、その金で親分が中華料理チェーン乗っ取りかけたら
「やり方が汚い」と言いがかりつけて、取り立てを始め、
電気もガスも灯油も止めてヒノモト親分を追い込みました。やり方も何も…元々親分に
「あの中華チェーン乗っ取ったら借金なんぞ３日で返せるがな…」
と持ちかけたのはジョージなんです。
元々短気なヒノモト親分が流石に切れて、
ジョージの入ってるという三丁目の「ハワイ湯」に殴り込みかけたら、
男湯と女湯の看板掛け替えられてて、女湯に飛び込んでしまった親分は、
お湯かけられて洗面器投げられて慌てて出てきただけなのに、
「女房が入浴中に突然襲われてこの通り、二目と見られん顔になった」
と嫁さんの顔に傷をこさえてまでして親分を逮捕させ、
裁判戦って莫大な慰謝料巻き上げたそうです。
おかげでヒノモト組は今でもジョージの下で働らいてます。
ジョージの為に汗水流して働いてます。
後…、そうそうあれは９月の11日のことでした。
ジョージの家の裏に置いてある自動販売機のゴミ箱二つと、裏庭の犬小屋が
何者かに放火されて燃えてしまったんです。
また、それを区民ケーブルテレビが偶然にも生中継したんです。
「町内に放火犯がいる！」とジョージが騒ぎまして、
まあ後から考えたらおかしいことだらけです。
あれほど付け並べている監視カメラに犯人が映って無いはずは無いんですが、
「映ってない」の一言で「見せて欲しい」という町内会の要請を蹴り、
「ボヤが出たのも町内会がぼやっとしとったからや」と自警団に人数を借り出し、
犯行声明を出したという学生が隠れていると言って地上げを狙っていた安アパートを
ユンボで更地になるまで取り壊したり、もうさんざんのやり放題です。
それでも怖くて誰も何も言えないんです。
いくら言いたくても言えないんです。
言ったら殺されるのは判ってるんです…
そして今
ジョージが因縁つけてるんです。
私に因縁付けてるんです。
Ｓもハッパもアシッドも社保庁も愛宕もトカレフもカラシニコフも
オサマもソガさんもヨコタさんもアウシュビッツも靖国もサリンもヨシリンも
全部私が悪かったことにしようとしてるんです。
それで警視庁と話をつけようとしてるんです。
もうじきなぶり殺しにされるんです。
チンチンを三つに割られて背中の皮をすっかり剥がされて
コンクリに詰められて木更津あたりに沈められるんです。
返す返すも残念です。
返す返すも残念です。
キム、ショットガンを取り出す。
だから、その前に死んでやるんです。
嫌がらせに死んでやるんです。
原爆使おうかとも思いましたが
やはりご近所のご迷惑になっては靖国の御霊に申し訳ないと思い直し
ショットガンにいたしました。
くわえることにいたしました。
飛び散った脳味噌で
「ジョージのバカ」と書いてやるんです。
ジョージにも読めるようにローマ字で書いてやるんです。
くわえて引き金を引く。
後頭部からクラッカーが破裂する。
キム、脳味噌を指になすって
あれ・・？ジョージって･･･Ｇ？Ｊ？
と悩んでいるうちに倒れる
かえすがぇ･･
息絶える独裁者の死体に、登場したギターの男が独裁旗を被せる。
弾き語りの歌が被さって…幕