「9」について
【作品解説】
9 ナイン-サイボーグ戦士外伝

「担白」「従軍慰安婦KEIKO」「独裁者」と同じく白神貴士の書き下ろし。

石ノ森(石森)章太郎のSFマンガ「サイボーグ009」(1964-1985)の先見性=戦争や文明の本質を捉えるテーマ性を、故・平岡正明氏の手法に習って、抽出・再構成した作品。ピースアクトには珍しいSF的な設定で、アフリカ内戦などの『子供兵』の悲劇を盛り込む。

「9」と「009」について
      …白神貴士


 ピースアクトのために作品を書くようになって、必然的に「平和」とは「戦争」とは?を以前より頻繁に考え、研究するようになりました。「戦争」は突然の悲劇でも軍隊の暴走でもなく、我々が日々どっぷりと漬られている経済活動の一端です。それゆえに、より卑劣な、よりおぞましいエゴと欲望の為せる業です。

 「死の商人」という言葉を最初に知ったのが、マンガ少年だった頃の私が傾倒していた石森章太郎氏の名作「サイボーグ009」でした。

 各国に武器を売りつけ戦争を企むブラック・ゴーストという死の商人の組織が戦争用兵器として作り上げた009達=改造人間=サイボーグが反旗を翻して戦いを挑む相手はシリーズが進むと共にブラック・ゴーストから神々や古代文明の謎に…このあたりも必然性があると考えると、実は人類と文明を見通した凄く深い大きな物語だったと思います。

 故・平岡正明氏、竹中労氏が水滸伝の物語構造を借りて革命やアナーキズムを語った方法論に習い、構想した「9」は、「サイボーグ009」の構造を借りて、文明と言う女神の正体をそのスカートの裾から覗き見てみようという大長編作品。今回はその一部となる「外伝」です。

 広い意味では「009」の系譜をひくと勝手に思っている「攻殻機動隊」のイメージや、アフリカ内乱国の子供兵、対テロ戦争など石森(石ノ森)先生(1938 - 1998)の死後の色々を盛り込んだ中身の濃い30分余を、お楽しみ頂けましたら幸いです。
作・演出:白神貴士
映像:猫金電影公司
音楽:大西千夏
主題歌:福力祥晃・レボリューション
出演:こちら 

戯曲:こちら  

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