第6章 6.8-2 大川の滝へ
大川の滝行きがバス停に止まるま13:49まで30分以上ある。腰をかけて待つ、靴を脱いでおこう。
とんがっている山はモッチョム岳かな?違ったっけ?あとで調べて見よう・・・。妙に高いのは竹の一種?
雨は上がって陽が差してきた。きっとさっきくらいのは、ここでは雨のうちに入らないのだろうなと思う。
アゲハ蝶が舞い、鳥が歌う。シャープペンの芯が切れてしまった。書けなくなってボールペンを取り出してみた。
スポンジがインクにまみれて、インクが分断している。空気が入らなくなってインクが出てこなくなっていたのだ。
草の茎の細くて強そうなのを使い、スポンジを押しこんでインクを繋げる。圧力が強すぎたか、少々ボタ漏れ気味
だが、当分は使えるだろう。ガイド・ブックを読んだりしながらバスを待つ。工事車両の通行が多いのは気になる、
造成中の土地などもバスの車窓から見えたが、観光開発なのだろうか・・・難しい問題ではある。バスに乗り込む。
とはいえ、走り出すバスから見える風景は、緑が覆い尽くしている。中間のバス停、集落にガジュマルの樹が
見えて沖縄っぽい雰囲気。海岸は黒い溶岩っぽい磯と、白い砂のコントラストが珍しく感じる。
バスの整理券の機械が故障してしまった。自己申告と運転手さんの記憶で処理されて行く。おまけにブザーも
鳴らなくなった。電気系統の故障らしい。「○○で降ります」・・一昔前のバスのようだ。これも中々良い。八幡
小学校前からは一〜ニ年生らしき8人ばかしが乗りこんだ。先生が「よろしくお願いします」「はい」運転手さんが
引き受けて、三ヶ所の停留所で呼んで降ろしていた。バスの前を横切った子には、窓から乗り出してちゃんと
危険な事を教えていた。当たり前の事なんだろうが新鮮に感じた。14:50大川の滝に着いた。バスを降りたのは
壮年のご夫婦と私の3人。
大川(おおこ)の滝は確かにでかい!超高層ビルの上から落ちてくるような感じ・・・。防水をして、しぶきの
かかる方へ行けば晴れていたし、虹も見えただろうが・・・バスが15:30には出てしまうので時間が気になる。
それでも、けっこう寄った画も撮れたし、遠景も押さえたので15:15くらいにバス停へと向かった。
バスを待つ時間でバス停付近を撮影。珍しい植物や河口の様子など・・・バスがやってきた。
乗りこんで出発を待つ間、いろいろと運転手さん(ちょっと年配の男性の方だった)にお話を伺う。
「青少年旅行村は予約せんと駄目かもしれんね。」
「その時は栗生まで出ます。」
「栗生橋からは次の17:15が最終だよ。」
「わかりました・・・栗生川の河口のマングローブってどこにあるんですか?」
「右側に囲ってあるよ。昔はいっぱいあったんだけど、今はそれだけ残して保護しとるんです。」
ためになった。バスはやがて青少年旅行村の停留所についた。ハイビスカスの茂みが道沿いに
続いている。建物の玄関を入ったところの受付で聞くと予約なしでもOKだった。持ちこみテントでの
料金300円を払うと分別ゴミ収集袋4枚と番号札を渡された。テントにつけておくのだろう。テントは・・
他には立ってない。バンガローにも人の気配が無い・・。オフ・シーズンだからかなあ・・・。
今回の旅は『屋久島ひとけの無い旅』かな・・という考えが頭をよぎった。海に近い方に陣取った。
林の間に立てる。蚊が多いが、なんか「木々の中に暮らしたい」との当初の想いがあったのか、そこに
立ててしまった。山登り用の一人テントを立てるのは初めてだが、なんとか立って一安心。
虫除けスプレーも残り少なくなってしまった。後で、町の方に食料の買い出しに行く時に一緒に
買って来よう。だが,その前に洗濯して乾燥機にかけておこう。管理棟脇のコインランドリーが閉まって
いたので管理棟のおば様に開けてもらった。もわっとした空気、元の電源も入れてもらう。洗濯機を
回しながら、これを書いている。あと7分の表示の頃、17時のサイレンが聞えた。ドヴォルザークの
『新世界』のメロディー、これは岡山と同じだなぁー。店が閉まらないかなとちょっと不安になる。
無事に洗濯が終了。乾燥機に移して200円を投入。よし!ビデオとウェストポーチ、傘を持って
栗生の町を目指す。・・・猿だ!バスの道に出るまでの旅行村からの細い道を歩いていた時だった!
母猿と小猿か?猿は脇の林に入るともの珍しそうにこっちを観ていた(人が珍しいのか?危うし旅行村!)。
群れだ、7〜8匹はいるかな?樹の枝にも集まって、こっちを観ている。なんだかドキドキした。だが買い物を
急いでいたので長居は出来ない。間近に撮影できた幸運を祝いつつ、旅行村を出て栗生の町並みを目指した。